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3Dでオンラインイベントをより臨場感のある空間へ。リアルの展示会を歩くようなワクワクヘの挑戦

コロナ禍を経て、テレワークやオンライン授業が当たり前になりつつある昨今。さまざまなものがデジタルに移行する中、BtoBビジネスにおいてもオンライン化が加速しています。これまでリアルで行われてきた展示会もそのひとつ。ソニーネットワークコミュニケーションズの子会社であるSoVeC(ソベック)株式会社では、展示会のワクワク感をそのままオンライン化する新たな試みに挑戦しています。

開発に至ったのは「自分たちが経験した苦境があったから」だと話すSoVeCの担当者に、メタバースを視野に入れた「withコロナ時代」の新しいデジタルツール「そのまま展示会」と「そのままショールーム」の内容や、これらのサービスを通じて目指していることについて聞きました。

「ブラウザ利用可能な3D機能」とは

――はじめに、「そのまま展示会」「そのままショールーム」がどのようなサービスか、簡単に教えてください。

重松:展示会や商談用ショールームなどの用途でお使いいただける、オンラインイベントを運営するための空間プラットフォームサービスです。2Dのサービスが多い中3DCGにこだわり、リアルの展示会を実際に歩いているようなワクワク感の演出を行っています。

――どのような方に利用いただいていますか?

重松:「そのまま展示会」はコロナ禍で対面のイベントが開催しにくくなった展示会や学会の主催者、「そのままショールーム」は、取引先に出向いてプライベートショーをおこなってきた企業を中心にご利用いただいています。これらのサービスを利用する主催者、出展者はもちろんのこと、来場者の方々にも満足していただくことを目指しています。

――「そのまま展示会」は、使い慣れたWebブラウザで利用でき設定も簡単、さらにチャットや音声通話で出展者と来場者が直接コミュニケーションできるなど、さまざまな特長があります。開発する上で最も力を入れたことは何でしょうか?

重松:やはり一番は3DCGのクオリティです。リアリティがあるのはもちろん、細部まできれいで見応えがあるんです。

CGは、不動産VRなどで評価の高いラストマイルワークスの技術を用いてカンボジアで制作。圧倒的にハイクオリティな表現を低コストで実現した

重松:3Dにこだわったのは、リアルな体験はもちろん、驚きやワクワクするような楽しさを感じていただきたかったからです。市場には2Dのサービスもありますが、どのブースも同じに見えて飽きてしまうんですよね。

黒田:私たちも使ってみて、やっぱり「ずっと見ていたい」と感じるのは3Dのサービスで。

重松:オンラインでイベントを開催できるサービスは他社にもありますが、ブラウザで使用でき、さらに3Dだという点が、競合と比べても強みになっていると感じています。

――3Dであることがポイントなのですね。一方で、あまり詳しくない方にとっては難しく感じたりしないのでしょうか?

黒田:私たちが取り入れたのはパノラマVRといって「Googleストリートビュー」などで既におなじみの技術です。多くの方が使い慣れているので迷わずにお使いいただけていると感じています。

たとえば、主催者は多くのお客さまに来てほしいし、出展者はリードがほしい、来場者は有益な情報がほしいというように、それぞれに需要があるので “三方よし”の関係を提供できたらと思っています。

重松 俊範 (SoVeC株式会社CRO/総合広告代理店にて営業やプランナー、上海や台湾支社を立ち上げ総経理を歴任。2020年2月より現職。趣味は写真・動画の撮影と編集。最近はブロックチェーン領域を勉強中)

コロナ禍のビジネスにワクワクと成長を。開発の裏側とは

――「そのままシリーズ」の開発はいつ頃から始まったのでしょうか。

重松:開発を決めたのはコロナ禍に突入してすぐの2020年6月頃でした。そもそも私たち自身が展示会に出展する側だったため、緊急事態宣言が出てからは営業機会が減少し、新たなご相談の数もそれまでの10分の1ほどに減ってしまったのです。そのとき「自分たちに以外にも困っている企業は多いだろうな」と感じたことが開発のきっかけでした。

また、私たちSoVeCは「テクノロジーの力で、コミュニケーションを進化させる」ことをミッションとしています。私たちの持っている先端技術を使って、ソリューションを提示できないかと考えたのです。

――開発はスムーズに進みましたか?

重松:CGはわりとすぐにできたのですが、大変だったのはシステム面。最も気を遣ったのが個人情報の取り扱いでした。出展者はブースに来場した方の情報を後日営業活動に活かすのですが、当然それは外部に漏れてはいけない個人情報にあたります。そのため、情報を安全に取り扱うシステムが必須で、構築にあたってはソニーグループの何重もの厳しい基準をクリアしなければなりませんでした。また3D空間に資料をアップロードするという技術も難しく、試行錯誤しましたね。

3D空間に資料をアップロードする画面

――新しいサービスということで、出展者のお客さまにご利用いただくハードルも高かったのではないですか?

黒田:どうしても2Dのサービスのほうが安価なので、価格で比較されやすいというのはありました。しかし、実施後のリード獲得数など、最終的な効果は大きく異なります。来場者の方がいろいろなブースを飽きずに回遊できる点、リアルの展示会のような偶然の出会いがビジネスにつながる点など、3Dならではの良さを評価いただいていると感じます。実際に2Dのサービスと比較すると、滞在時間が7倍に伸びたというデータもあるんですよ。

重松:3Dの映像から得られる満足感や楽しさが、結果的に来場者の滞在時間に反映されているんだと思います。3Dの場合、来場者が「いま自分は展示会全体の何割を見終えたのか」が体感としてわかり、全体感の把握ができることもメリットとしてあります。また、見ていてワクワクできること、もっと見てみたいと思わせられることも3D特有のこととして挙げられます。出展者の方々には、その点もメリットに感じていただけているようですね。

――“楽しい”や“ワクワクする”という視点は特徴的ですよね。

重松:ワクワクを大事にしているのは、もともと私たち自身が出展者側だったことも大きいかもしれません。やっぱり、楽しくなければイベントじゃないですから。

黒田:出展者の方々からは「イベントのこと、よくわかってるね」と嬉しいお言葉を頂いています。人を動かす原点には「感動」があり、私たちが目指しているワクワクって、そこなんだろうなと感じます。その視点はこれからも大事にし続けたいですね。

黒田 諒 (SoVeC株式会社/新卒でPR会社入社後、事業開発チームを経てSoVeCへ。学生時代はボート部に所属。趣味は飛行機に乗ること。旅行の楽しみは滞在先より移動時間)

リアルと両立する新たなサービスを目指して

――2020年秋にサービスを開始して間もなく2年になります。反響はいかがですか?

重松:遠方に住むお客さまから「リアルイベントだと参加できなかったので、このサービスがあって嬉しい」との声をよく頂戴します。出展されるお客さまからも、出展にまつわる輸送費や人件費、移動時間がかからないこと、ノベルティなどのコスト削減ができる点でもメリットを感じていただけています。

黒田:「チャット機能があるためリアルイベントよりも相手へ話しかけやすい」というお声もありますね。時間が合えばその場ですぐにWeb会議を開いて商談が始まるケースも。2Dのサービスと違って担当者が「ずっとそこにいる」状態なので、片手間にならずに対応できるようです。また、リアルの場だと名刺交換しないと連絡先がわからないという課題がありますが、「そのままシリーズ」はブースを訪れた時点で名刺情報を得られる仕組みになっているので、後日コンタクトも取りやすいんです。

重松:コロナが落ち着いたからといって、すべてのイベントがリアル開催になるかというとそうでもなく、今後はケースバイケースになっていくでしょう。そのため今のうちにこういったサービスを試しておきたいというお客さまも多い印象です。これまで数十社のお客さまにご利用いただきましたが、ある建材イベントでは3日で15,000人もの来場者数を記録し、手応えも感じています。

――最後に、今後の展望について教えてください。

黒田:まずは、出展者と来場者それぞれの満足度を上げるために、使い勝手をより良くしていくことが重要だと思っています。そのために営業として、自社の開発チームと主催者、出展者の方々の橋渡し役となっていけたらと思います。

重松:世の中のサービスは、今後ますます3Dやメタバースの方向へ加速していくと推測されます。かといって、みんな仮想現実の世界から出てこないかというとそうではないと感じるので、両方が成り立つ世界で、より便利に使っていただけるようブラッシュアップしていきたいと思います。たとえば、呼び込みのようにブースから吹き出しが出るなど、会場を歩いているかのような偶発性の演出も追求していきたいですね。どのブースに人が集まっているかが人影などで直感的にがわかったりしてもいいですよね。今後はそんなワクワクする仕掛けもより増やしていければと考えています。また、オープンキャンパスや採用イベントなど、まだ手がけていないイベントにも挑戦していきたいですね。

(参考)そのままショールームがTOKYOMXの人気番組「ええじゃない課Biz」に取り上げられました!


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