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あなたが3年以内にかかるかもしれない疾患は? AI予測分析ツール「Prediction One」が国内最大規模の診療データを活用し、健診結果を基に算出【カルテコ体験会レポート】

皆さんは普段、どのようなAIを使っていますか?

音声アシスタント機能や検索・翻訳、お掃除ロボット、人感センサー搭載エアコン、自動運転システムなど、さまざまな業界でAIの活用が進む昨今。ヘルスケア業界でもAIの活用が進んでいます。

メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)が提供するPHR(パーソナルヘルスレコード)システム「カルテコ」は、AIの活用により疾患発症リスク予測の機能を拡張。特定の34疾患のうち、将来かかるかもしれない疾患の発症確率を予測します(2024年10月31日に実装)。

その裏側で使われているのが、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供するAI予測分析ツール「Prediction One」です。「Prediction One」を使ってどのようなことができるのか、「AI×ヘルスケア」が私たちの生活にどのような変化をもたらすのかを、2024年9月に開催したメディア向け体験会のレポートとあわせてご紹介します。

「カルテコ」とは、医療機関を受診した際の診療情報や健康診断・人間ドックの結果を閲覧することができるオンラインサービス。


3年以内にかかるかもしれない疾患を知り、暮らしを自分で見直す。AI予測ツール「Prediction One」搭載の「カルテコ」で未病対策

「Prediction One」とは、機械学習やプログラミングなどの専門知識がなくても数クリックの簡単な操作で予測分析ができるAI予測分析ツール。ソニー独自開発の自動モデリングによって高い予測精度を実現しています。

そしてAI予測とは、大量のデータを活用して未来を予測すること。大量の過去データを機械が学習し『将来起こりうる出来事』や『過去の事象が再発する可能性』を予測します。

たとえば某飲料メーカーでは、過去の出荷状況を学習し、季節ごとの出荷予測を立て、事業計画や販売目標の試算へ活用。某デバイスメーカーでは、過去のデータから製造の後工程で生じる不良率を予測し、改善ポイントを導き出すなど、各業界で導入が進んでいます。

「Prediction One」の利用イメージ。データのアップロード&数クリックの操作で予測分析ができ、予測モデルの選択やデータの前処理なども自動でできるため、専門知識がなくても簡単に利用できます

今回「Prediction One」を導入していただいた「カルテコ」では、実患者数で4,895万人分(2024年9月末集計)の診療データ(※1)を活用。膨大かつ質の良いデータを学習させた上で、健診結果を基に以下のことがわかる機能となりました。

・34疾患(※2)の3年以内に発症する確率(同性、同世代と比較)
・その疾患が発症した場合の、QOL(生活の質)への影響を考慮した健康リスク
・禁煙など生活習慣の見直しや、体重・HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)
(※3)の変化などによる発症確率の変化

(※1)データは医療機関より二次利用の許諾を別途取得済。
(※2)34疾患は以下の通り。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、閉塞性動脈硬化症(下肢)、脳卒中、虚血性心疾患、心不全、緑内障、白内障、急性ストレス反応、逆流性食道炎、胃十二指腸潰瘍、食道がん、胃がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がん、脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変、肝がん、胆嚢炎、慢性膵炎、膵がん、慢性腎不全、小腸大腸のポリープ、大腸がん、子宮内膜症、子宮がん、乳がん、前立腺肥大、前立腺がん、関節リウマチ、悪性リンパ腫
(※3)「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」とは、赤血球中のヘモグロビンと糖が結合した割合を示す値で、糖尿病のリスクや血糖コントロール状態を判断する重要な指標。HbA1cが高い=血糖値が高い状態が継続していること。

「健康診断で出た高めの数値」を放置しない。スマホに映し出された未来の自分を知り、今日からできるアクションを

メディア向け体験会では、「未来予測レポート」機能のデモンストレーションも体験できました。

自分の健診結果をカルテコに入力し、右下の「未来予測を見る」をクリックすると……
疾患名と、その発症確率が表示されます

アプリでは発症した場合の医療費や、今の生活習慣をどのように変えれば発症確率が何%下がるかのシミュレーションもできます。

健康診断の結果に基準値より高い値を見つけても、「少し高めなんだな」と感じるだけで終わっていたという方も、この機能により生活習慣の見直しや二次検診に行くなどの具体的なアクションがイメージしやすくなります。

なお、カルテコが導入されている病院で健診を受けた場合は、カルテコアプリをダウンロードして月額契約をすればすぐに結果を見ることができます。

「カルテコ」の独自機能として、自撮りでバイタルと自律神経の状態がわかる機能も。スマホ画面に顔を10秒かざすと……
自律神経指数やトータルパワーから、今の自分の状態がわかります。この機能はペットの犬にも活用できるそう

センシング計測結果や診療情報、健診結果などのデータは、いずれも家族間で共有が可能。そのため、遠く離れた家族の健康状態を知ることもできるのです。

ヘルスケアに求められる個別化と多様化。“超”早期発見・介入で疾患を未然に防ぐために欠かせないAIの存在

メディア向け体験会では「カルテコ」を手がけるMDVからの発表に加え、当社のデータサイエンティストである松原雅信や、東京センタークリニック 長嶋浩貴院長による講演もありました。

疾患発症リスク予測の浸透で、より多くの人の健康意識を変えていきたい

MDVの平井真司さんは、「未来予測レポート」の一番の狙いを「疾患予防、健康維持のための行動変容を起こすことと、二次検診を受診するためのきっかけづくりにある」と述べました。

「健診結果を見るだけでは、将来的なリスクまでは想像しづらいもの。それを具体的な疾患に置き換えることで、健康維持への意識を高められると感じています。その結果、行動変容や受診のきっかけにつなげられたら」と話しました。

また、「AIによる疾患発症リスク予測は文化としてまだ根付いていない」としたうえで、「当たり前のように自身のリスクを把握し、具体的に対処できるような文化をつくっていきたいです。来年には利用者数1.5〜3万人のサービスにしていきたい」と展望を語りました。

MDV カルテコ運用企画担当 平井真司さん

ビッグデータとAIソリューションで、ヘルスケア業界へ新たな価値を

ソニーネットワークコミュニケーションズの松原は、「Prediction One」の紹介とともにAI活用において重要になるポイントなどを説明しました。

「質の良いデータを入れることで信頼度の高い予測モデルができます。その点、今回利用できたデータは国内最大規模の診療データベースでした。膨大かつ質の良いデータを活用できたことで、今回のサービスが実現しています」と話し、今回のモデルの予測精度は、34疾患モデルすべてにおいてAUC(※4)80%以上を達成していることも紹介しました。

(※4)AUCとはArea Under the Curveの略で、100%までの値をとり、値が100%に近いほど判別能が高いという評価指標のことを示します。

ソニーネットワークコミュニケーションズ 法人サービス事業部 松原雅信。データサイエンティストとして「Prediction One」の活用をサポート。

「AIの進化」が描く、医療・ヘルスケアの未来予想図

最後に登壇したのは、東京センタークリニック院長の長嶋浩貴医師。長嶋医師は日本初のDCT(※5)責任医師としても活躍してきました。

(※5)DCTとはデジタルを駆使し、オンライン診療など来院に依存しない臨床試験を行うこと。

東京センタークリニック院長 長嶋浩貴医師

昨今、医療業界で最も優先される課題が「イノベーション」であると長嶋医師は話します。

「さまざまなイノベーションについての議論が生まれていますが、その一つが『医療からヘルスケア』、つまり未病から早期に介入することで疾患を予防できないかというものです。

未病対策のためには、今まで以上に疾患への深い理解が必要になります。『なぜその疾患が発症するのか』『なぜその疾患にかかりやすいのか』を解明するためには、研究やエビデンスが必要。そしてその結果を解析し応用していくためにICTあるいはAIが欠かせなくなってくるということが、医療業界で言及され始めています」と述べます。

近い将来には「より複雑でより専門性の高い個別化ヘルスケア」が望まれるようになり、従来の早期の概念よりはるかに早い「“超”早期発見・治療によるQOL改善」が重要になると長嶋医師は言及。「そのためにはAIの進化が鍵になる」とイベントを締めくくりました。

Prediction One|ソニーネットワークコミュニケーションズ
https://predictionone.sony.biz/

カルテコTOP|カルテコ
https://karteco.jp/


最後までお読みいただきありがとうございました。
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