夢を封印しない。自分の挑戦が世界を“CHANGE”する一歩になる【TALK SESSION of CHANGE】
2022年5月12日、社員向けオンライン・イベント「TALK SESSION of CHANGE」を開催しました。このイベントは、ソニーネットワークコミュニケーションズの新ビジョン“INFRASTRUCTURE of CHANGE 人類の変化を支える、インフラへ。”を軸に、社長の渡辺がゲストと対談する企画です。
今回のゲストは、SREホールディングスの社長兼CEO西山和良さん。不動産業界に変化をもたらす存在として注目を集める西山さんと、新規参入が難しいと言われる通信業界で2013年に「NURO 光」を立ち上げて以降、固定通信、モバイル通信、直近ではAIやスマートライフ等の分野で新事業を牽引する渡辺が、“CHANGE”をテーマに対談しました。当日の模様を、noteの読者の皆さまにもご紹介します。
<ゲスト>
西山 和良さん(SREホールディングス社長兼CEO)
2003年にソニー入社後、コーポレート企画推進部門・担当部長を経て、2014年4月にソニー不動産を設立。業界の慣習である「両手仲介」をおこなわずに「片手取引」とすることで不動産流通上の透明性と平等性を追求するとともに、AIやIT技術を活用した不動産DXも推進する。2019年6月にSREホールディングスへ社名変更し、同年12月に東証に上場。
「お昼食べに行こうか?」の雰囲気でさらっと言われた衝撃
渡辺:ソニーの長い歴史の中では数多くの社内起業がありました。そんなソニーグループ内でも、社内起業から独立、上場した西山さんのようなケースは、久しぶりでしたよね。
西山:そうですね。とはいえ、そこには吉田憲一郎さん(ソニーグループ株式会社・会長兼社長 CEO)や十時裕樹さん(同・副社長兼CFO)の存在も大きかったと感じています。事業を通じたチェンジとチャレンジにより社会に貢献し、自らもブラッシュアップしていく彼らの姿に触発され、私自身も結果的にはソニーを飛び出すことになりました。先人の取り組みがなければ、自分でやってみようとは思わなかったでしょう。おふたりのフロンティアスピリットが、私の活動の源流にあると感じています。
渡辺:続く人がもっと出てほしいですよね。
西山:今後出てくるのではないでしょうか。過去ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ)が上場(※1)した時に比べ、現在はスタートアップの上場に関するハードルが劇的に下がっていると思うんですよね。私自身、創業から5年ほどで上場しましたが、上場に関するパッケージがたくさん用意されていて難易度が低かったからこそ早く実現できました。スタートアップが上場しやすい環境が揃ってきているので、「やってみようかな」と思う方がひとりでも増えてくれたら嬉しいです。
渡辺:企業に所属していると、起業することや上場することがとても遠いことのように感じてしまいますが、意外にもそうではないですよね。
西山:ソニー不動産を作る以前、十時さんと話していたときに「会社を作って上場すれば?」というようなことを、「お昼食べに行こうか?」みたいな感じでさらっと言われたのがすごい衝撃で(笑)。それまで会社を作って上場するなんて一部のカリスマや天才がやることだと思っていましたから。吉田さんや十時さんとお話しする中で、「自分もそういったところを目指していいんだ」と思考の壁が崩れた部分はあります。その点では、渡辺さんが社内に向けて「チャレンジしていこう」と発信していくのは、大企業思考に固まりそうになるのを壊してくれる効果があると思います。
渡辺:今は創業年数を重ねていなくても、また社員数が多くなくても、企業価値が高ければ上場できる可能性がありますよね。
西山:仰る通りです。エムスリー(※2)も会社設立から数年で上場しましたが、その際の社員数は30人程度でしたよね。社員を何百人も集めてとんでもないことをやらないと上場できない、というのはもう過去の話です。
“ど真ん中”でないものも巻き込みながら加速していく
渡辺:SREホールディングスは、経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX銘柄2021」でグランプリを受賞され、DXやAIの分野で価値を認められていますよね。
西山:おかげさまで創業以来、売上利益を順調に拡大させ続けています。成果を出すことでより良い人材が入ってくれるようになり、さらに企業が成長するという好循環が生まれていると感じています。
ただ、世界の投資家が求めるレベルはどんどん変わってきていると感じます。そのため社内には、持続可能な成長と新しいイノベーションにチャレンジすることをしっかり“両追”していこう、という話をしています。
渡辺:前に進むためには整理しなくてはいけないこともありますし、重要なのは“数字”だけではないですからね。我々も短期的な数字だけでなく、中長期的に企業価値をどう高めていくかを常に考えています。
ちなみにSREホールディングスとソニーネットワークコミュニケーションズは仕事を共にすることもありますが、我々に今後こうなってほしいなどの期待はありますか?
西山:渡辺さんと定期的にお話しさせてもらっている中で、「攻めた経営をしているな」という印象があり、攻めの姿勢や革新力を緩めることなく加速しようとしているのを感じます。社外から来られたこともあり、新しい視点や俯瞰力をお持ちだったのだとは思いますが、「ソニーネットワークコミュニケーションズは次に何をやるのか」と率直にいつもワクワクさせてもらっています。
渡辺:通信の“ど真ん中”でないものも巻き込みながらやっていきたいとは常々思っています。SREホールディングスとも新しい取り組みができればいいですね。
西山:家の中のインフラというところから発展させ、デジタライゼーションやイノベーションをやっていこうという渡辺さんの考えにはとても共感します。我々はベンチャー企業なので、連携することでソニーネットワークコミュニケーションズの先進力や規模感とのシナジーを追求できるのではないかと感じています。ぜひ一緒に取り組みをしていきたいですね。
年齢は関係ない。手を挙げた人をサポートする“CHANGE”を起こす社内環境
渡辺:社員からもいくつか質問が届いています。
渡辺:参入障壁が高い業界だからといって、変革を起こすのが難しいということはないと思っています。重要なのは、中に入って、そこの住人になってしまうことです。加えて、心の強さも必要だと思います。
西山:当時社長だった平井一夫さん(現ソニーグループ株式会社シニアアドバイザー)にソニー不動産の構想について話したとき、「失敗するリスクはある?」と聞かれ、「大手の方々にいじわるをされてしまったら失敗するかもしれません」と話したんです。そうしたら、「まずは挨拶に行こうか」と、大手への挨拶まわりに一緒に来てくださったんですよね。そこで仁義を切ったからか、今のところうまく棲み分けながらwin-winなかたちで進めていけていると思っています。そのときの平井さんのような、新しい人たちを応援しようというソニースピリットには助けられましたね。
渡辺:これからだとレガシーな産業でしょうか。レガシーな産業がデジタルイノベーションによって伸び直す時期が一気にくると予想しており、変化を見ていきたいと思っています。
西山:「デジタル」と「住まい」の親和性の高さはよく言われることですが、「健康」や「医療」と「不動産」も親和性が高いと思っています。日々どうやって暮らすかは、どれだけ健康になるか、どれだけ長生きするかに繋がっていくと思うので、医療やライフサイエンス、ヘルスケアの領域には注目しています。日本が世界に先駆けて超高齢化社会になっていることが、大きなビジネス・オポチュニティを生んでいると思います。
渡辺:60歳後半から起業して社会を変えている人も多くいらっしゃいますから、年齢は関係ないと思っています。一方で、若さもプラスになると感じます。
私自身は若い頃から起業家を目指していました。のちに起業する前提で、どういう会社で何をし、いつのタイミングで起業するかはずっと考えていましたね。インフラ業を突き詰めて社会のために何ができるか考えたかったので当社に入社した、という経緯があります。
西山:私は起業家になりたいという夢はありましたが、やはり無理だろうなと思っていて、ある時期からその思いは封印していました。でも運良くソニーに流れ着いていろいろな経験をさせてもらう中で、吉田さんや十時さんの話を直接聞いたこともあり、「あ、やっていいんだ」と感じられるようになったんですね。起業した直後は黒字化できるか思い悩んだこともありましたが、私はたまたま平井さんをはじめとするマネジメントチームの支援があったので、孤立することなくここまで来られました。
そういったことから考えると、ソニーネットワークコミュニケーションズには、起業しやすい環境が整っていると感じます。代表である渡辺さん自身が起業家で、メンタリングやサポートを受けながら事業を立ち上げられる。そんなチャンスは、大企業の中でもそんなに多くないと思います。チャレンジしやすい、イノベーションが起こりやすい環境ですよね。
渡辺:そうですね。やりたいという人を積極的にサポートしていく体制はすでにありますので、ぜひ社員の皆さんにも手を挙げて変革を起こしていってほしいですね。