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何を変えて、何を変えないか――。葛藤の末にたどり着いた"ありたい姿"と"メッセージ"【「NURO」リブランディングの舞台裏】

2021年9月に、包括的ネットワークサービスとして生まれ変わった「NURO(ニューロ)」。

動画配信サービスやオンラインゲームが身近なものとなり、多くの企業でテレワークが導入されるようになった今、高速回線はもはや当たり前の存在として生活に溶け込むものとなりました。

“インターネットをベースとして、より多くの人の毎日を便利で快適にし、感動を届けたい

そんな思いから「NURO」は新しく生まれ変わりました。

今回は「NURO」のリブランディングプロジェクトをリードした桜川さんと、新しいロゴをデザインした青島さんに、プロジェクトを通じて大切にしていたことや自身のこだわりなどNUROブランドに対する思いを聞きました。


頭を悩ませたのはブランドガイドライン
――ガチガチで自由度が失われてもいけない

――はじめに、おふたりの経歴を教えてください。
桜川:
私は、2020年10月にソニーネットワークコミュニケーションズへ入社しました。ITベンチャーをはじめ広く転職先を検討していた中で、ソニーネットワークコミュニケーションズならソニーという大きい組織の中で社内ベンチャーっぽいようにも見え、何か新しいことができそうだと感じ入社を決めました。

前職でも長くマーケティングを担当していたので、その経験を踏まえ、はじめはスマートホームサービスのマーケティング課の課長として着任、2021年4月からは「NURO 光」のマーケティングを担当するようになりました。その3ヶ月後には今回のプロジェクトが始まったので、あれよあれよという感じです。

青島:私はもともと他社でグラフィックデザイナーとして働いていましたが、一からプロダクトデザインやマーケティングに携わりたいとの思いから、2016年にソニーに入社しました。これまでブランディング案件を多く担当していた経験から、今回のプロジェクトも担当することとなりました。

――7月にスタートして9月には発表…、非常にタイトスケジュールですが、調整など大変だったのではないでしょうか?

桜川:じつは社内調整はさほど大変ではありませんでした。たしかに全社的なプロジェクトで関係者が多かったのは事実ですが、皆さんレスポンスが非常に早かったので、調整で時間がかかることはなかったですね。私は中途入社で社歴も浅いので、既にプロジェクトを担当していた方に相談し、既存サービスの責任者・担当者にヒアリングもしながら進めました。大きな反発が起こることもなく、皆さん協力的で同じ方向を向いている感じがありました。

青島:ロゴについても同様ですね。こちらからの提案をスムーズに受け入れてくださったので、動きとしては非常に早かったです。デザインに取り掛かる前に、目指す方向性を合意できていたのが大きかったと思います。

桜川 智子(NURO事業部マーケティング部 部長)

桜川:頭を悩ませたのは、ブランドガイドラインをどこまで決めるか。ある程度ルールはあったほうが動きやすい面もあるけれど、ガチガチで自由度が失われてもいけない、その良い着地点を見つけるのが難しく、まだ進行途中です。

青島:ガイドラインの策定は大変でしたね(苦笑)ソニーネットワークコミュニケーションズは、ソニーグループの中でも自由度が高い印象です。ガイドラインを整えることでお客さまにとってわかりやすくなるのなら整えたほうがよいし、固めすぎて表現がつまらないものになってもいけないので、そのバランスが難しいですよね。

青島 千尋(ソニーグループ株式会社クリエイティブセンター)


高速回線は、もはや当たり前の存在として生活に溶け込むもの

――どうして今回「NURO」をリブランディングすることになったのでしょうか?

桜川:2020年からのコロナ禍の影響もあり、ご家庭のインターネット環境が以前よりも重要視されて、インフラとしての存在感が増してきたことも要因の一つです。最近では、”速く・安定したインターネット”が家にあることが当たり前で、それがないと満足できない状況になっています。

私自身もユーザーとして実感していますが、映画やドラマを自宅で楽しむときにインターネットが安定しているかどうかで満足度が全然違います。あとはWeb会議中に落ちないとか。IoT家電などもそうですが、とにかく色んなものがインターネットに繋がることで格段に利便性が上がっていて、多くの人にとって、この数年でインターネットの重要性が大きく増したと思っています。

高速回線がもはや当たり前の存在として生活に溶け込むものとなった今、インターネットをベースとして、さらに革新的なネットワークサービスでより多くの人の毎日を便利で快適にし、感動を届けたいというところから、「NURO」を光回線サービスのブランドから包括的なネットワークサービスブランドへとリブランディングすることとなりました。

2013年にローンチした「NURO 光」は、個人宅向け商用サービスとして当時”世界最速”を実現。高画質・大容量のコンテンツ視聴、オンラインゲームなどをストレスなく安定して楽しむことができ、複数端末での同時接続も遅滞なく快適に利用できるとして、J.D.Power社による顧客満足度調査にて5年連続で総合満足度第1位(※1)を受賞するなど、多くの皆さんからご好評いただいています。
また、2015年には下り最大10Gbps、2020年には上り下り最大20Gbps(※2)のサービスをスタートさせるなど、さらなる高速化のニーズにお応えすべく、常に挑戦を続けてきました。
現在では、個人・法人あわせて100万回線(※3)を超えるお客さまにご利用いただいています。

通信を起点とした「先進性」をもちながら、より多くの人とのつながりをもつ

――新しい「NURO」には、「NURO Smart Life」、「NURO AI」などのサブブランドがありますね。

桜川:はい。これまで、当社には、さまざまなブランドを冠した多様なサービスを立ち上げてきたカルチャーがありました。今あるサービスについて、それぞれのブランドを尊重しつつ、すべてを強くしていくために、「NURO」という幹を作り、このマスターブランドを太く強くして、ほかのサービスも一緒に引き上げていきましょうという戦略のもと、「NURO」ブランドとして整理したかたちです。

お客さまにとっても、同じブランドの傘の下で色んなサービスが横並びで見えたほうがわかりやすいと思いました。もしかすると、ソニーネットワークコミュニケーションズには、NUROを中心にした通信会社で、回線を提供する“土管”のようなイメージがあるかもしれませんが、他の通信キャリア様と同様、通信事業の周辺領域に多角化されたビジネスを展開している、ということを今後もっと知っていただければと思います。

――ロゴにもそのような思いを込めたのでしょうか?

桜川:これまでの「NURO」ロゴはインターネットリテラシーが高いカスタマーに向けた個性的なロゴでしたが、今後事業を拡大していく上で大切なのは、「先進性」を持ちつつも、多くの人が知っている、かつ、知っているだけではなく信頼される・生活を支える・生活を変えるイメージを持つブランドになっていくこと。そのためには、新しい「NURO」ロゴは人に受け入れられる「親しみやすさ」も表現する必要があると考えました。

青島:新しいロゴは、「NURO」の名前のもとになったニューロン(=脳神経細胞)がモチーフになっています。この神経を、通信ネットワークを意味するシンプルな線にして、線が交差する箇所には通信ネットワークの構造モデルにおけるNode(=結束点)が滲んでいます。このNodeはNとRの文字のつなぎ目に描かれており、Nodeを起点に拡がるSNCの様々なビジネスのストーリーを表現しています。

青島:ロゴの形状は四角や正円などのジオメトリックな要素が寄り添い、融けあいながら新しいサービスに鋳造されていく表現にもなっています。このロゴに続く他の文字ともロックアップしやすく、オリジナルのロゴから継承したボールドな線によって視認性も確保したことで、「先進性と親しみやすさの融合」が表現できたのではないかと思っています。

桜川:カラーについても検討しましたよね。旧ロゴは先進的イメージを訴求するためにモノクロにしていましたが、新ロゴでは多様な利用用途や背景とも融合しやすいよう、またご利用いただきたいお客さまの多様性も意識した結果モノクロとなりました。

コンセプトは「先進性×親しみやすさ」。ロゴデザインはミリ単位で調整

――デザインにおいて一番苦労したのは、どのような点でしたか?

青島:以前のロゴもボールドで読みやすく、キャラクター性があって好きでしたし、せっかく定着してきた中で、そもそもロゴを変える必要があるのか、じつは案出しの段階で議論になりました。

が、社長の渡辺さんも交えて議論する中で「今後ますます事業を拡大していく上で、お客さまも多様化していき人とのつながりがより大切になるので、ロゴのイメージも新しいメッセージを込めるために変える必要がある」との強い意思をお聞きし「それならば」と納得し取り掛かったのです。

難しかったのは、以前のロゴの個性をどの程度残すべきか、「先進性」と「親しみやすさ」という一見相反するワードをうまく表現するには、どういった形状が適切か、といった点でした。

桜川:「親しみやすさ」に寄りすぎてしまった場合、一歩間違うと何の特徴もなくなってしまったり古臭く見えてしまったりもするので、「親しみやすさ」を表現しながらも、いかに「先進性」を担保するかがポイントだったと思います。

青島:太さや丸さをミリ単位で調整しては周りのデザイナーに初見の印象をヒアリングしたりしてブラッシュアップしていきました。

――社員向けに、新しくなった「NURO」のノベルティも制作されたのですよね?

桜川:まずは社員に新しいNUROへ親しみを持ってもらうことも大事だと思い、新しいロゴの付いたノベルティを全社員に配ることにしました。何が欲しいか全社員にアンケートをとってアイデアを募集し、青島さんたちクリエイティブセンターの皆さんと一緒に制作しています。

青島:素材にもこだわり、ソニーオリジナルブレンドマテリアル用紙を使用した環境パッケージを採用しました。インクもなるべく使わないようにエンボス加工としたり、メモ帳にもプラスチックや金具を使わない仕様にしたり、ステッカーにもリサイクル紙を使用するなど随所に環境配慮をおこないました。

“速いインターネット”を、もっとたくさんの人の日常に

――プロジェクトを通して嬉しかったことも、ぜひ聞かせてください。

桜川:ロゴひとつとってもWebや資材など、すべて変えないといけなくなるので、絶対に反対意見や不平不満がでると思っていました。ところが蓋を開けてみると、トップダウンにならずに各々が前向きに捉えて主体的に動いてくれたのは嬉しかったですね。まわりの人たちに本当に助けられたと思っています。ソニーネットワークコミュニケーションズは、優しくて真面目な方が多いですね(笑)

社内には立上げメンバーも多くいますし、NUROに対して愛着を持っている社員がたくさんいます。なるべく皆さんの思い・意見を反映させていくという作業は大変でもありましたが、ここは大切にしたいと思いながらやっていました。

青島:私は単純に、自分がデザインしたロゴをTVCMで見たのが初めてだったので、すごく嬉しかったですね!

――最後に、このnoteをご覧の皆さんにメッセージをお願いします。

青島:「NURO」のロゴがじつは変わっていた!とこの記事を読んで多くの人に知っていただければ嬉しいです。新しいブランディングに込められた思いのとおり、引き続き人と人とのつながりを大事にして、生活を少しでも豊かにできるようなブランドに成長していければと思います。

桜川:新しくなった「NURO」を、より多くの皆さんに知っていただくためには、これからの活動が大切だと思っています。今後「NURO」の世界観を表現した映像なども制作していきますので、ぜひご覧になっていただきたいです。

また、さらに多くの人に”速いインターネット”を日常のものにしていただくためにも、もっとたくさんの人・お客さまに寄り添っていく必要があると思っています。「先進性」と「親しみやすさ」という相反するイメージを共存させることにチャレンジしていきますが、そのためにも品質や顧客満足度は、引き続き大切にしていきたいと思います。

実際「NUROにして本当によかった!」というお客さまの声もたくさん頂いているので、一部の方のためのだけのサービスでなく、皆さんにとって良いサービスであるということを、もっと多くの方に知っていただきたいですね。

▼新しくなった「NURO」についてはこちら

※1  J.D. パワー“固定ブロードバンド回線サービス顧客満足度5年連続No.1<関東(エリア)>”:J.D. パワー2017-2021年固定ブロードバンド回線サービス顧客満足度調査。2021年調査は固定インターネット回線を家庭で利用している関東エリアの3,050名からの回答による。

※2 「20Gbps」という通信速度は、ネットワークから宅内終端装置へ提供する技術規格上の最大速度です。お客さまが使用する個々の端末機器までの通信速度を示すものではありません。端末機器1台における技術規格上利用可能な最大通信速度は、有線接続(10GBASE-T1ポート利用)時で概ね10Gbps、無線接続時で概ね4.8Gbpsです。速度は、お客さまのご利用環境(端末機器の仕様等)や回線混雑状況等により、低下する場合があります。

※3 個人向けサービス「NURO 光」、子会社のソニービズネットワークス株式会社が提供する法人向けICTソリューションサービス「NURO Biz」の「NUROアクセス」、子会社のソニーネットワークコミュニケーションズコネクト株式会社が提供するマンション全戸一括向けサービス「NURO 光 Connect」等の回線数を含みます。

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