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多様性こそが私たちのインフラ。そう言える日のため今できること。

「多様性のある社会」、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)」、これらの言葉を知ってはいても本当の意味を理解できている人は少ないのではないでしょうか?

性別、国籍、障がいの有無を問わず、あらゆる人にとって働きやすい環境をつくるために、企業にできることはたくさんあるはず。ソニーネットワークコミュニケーションズが考えるDE&I推進に取り組む本当の意味や目的について、人事担当執行役員と人事部マネージャーの二人に話を聞きました。


採用を断念した悔しい過去。多様な視点を持つことで未来は変わる

――まず初めに、DE&Iとは何ですか?

上野:DE&Iとは、性別や国籍、障がいの有無を問わず、公平に力を発揮できる社会を推進する取り組みのことです。ソニーネットワークコミュニケーションズでは、DE&Iの推進に積極的に取り組み、皆がいきいきと働ける多様性ある社会を実現させようとしています。

――多様性ある社会を実現させると、世の中はどのように変わると思いますか?

上野:10年前、私はアメリカ南部の町に留学しました。家族と一緒に滞在したため、当時4歳だった娘は、現地の幼稚園に入園しました。現地の子どもに囲まれて、馴染めるだろうかという心配もしたのですが、いざ入園してみると先生から「クラスの中で今までとは違う意見が出始めた」「新たな文化を知ることで、他の子どもたちにポジティブな反応が出始めた」と言ってもらったんです。

仲間に受け入れてもらえたことで、娘も自分らしくのびのびと過ごしました。多様性を尊重することで実現できる世界を目の当たりにし、強く印象に残っています。

――多様性が尊重された結果、周囲にも良い影響が出たのですね。しかし、特に日本では、世の中全体として多様性への理解・浸透度に差があるようにも感じます。

泉谷:そうですね。10年以上前になるのですが、とある障がいがある方の採用面接を行いました。優秀な方で、会社の掲げるビジョンへの共感度も高く「必ず活躍できる」と思って選考を進めていたのですが、リモートワークを利用した就業を希望されていることがネックになり、当時採用を断念したことがありました。

確かに当時は、社会全体が「出社して仕事をするのが当たり前」という風潮でした。制度上断念せざるを得ないという判断に、やりきれない思いをしたのを覚えています。その出来事はその後ずっと私の心の中に残り続け、「本当にどうにもできなかったのか」という自問につながりました。

――近年では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、リモートワークが浸透して働き方もガラッと変わりました。

泉谷:全員が一様に同じ行動がとれる前提で考えてはいけないとわかったとき、世の中は初めて「今までとは違う視点」を手にいれることができたのではないでしょうか。そして、さまざまな視点を持って課題に取り組んでいくこと、向き合っていくことの大切さに気づけたと思うんです。

当社でも、その期間にリモートワーク制度の拡充やフレックス勤務におけるコアタイムを廃止するなど、より柔軟な働き方を可能にできるよう社内規程の改定を行いました。結果的に、より多様な働き方を推進できたと感じています。

――障がいのある方の採用に限らず、多様な視点がまだまだ足りていないと感じることはありますか?

泉谷:いまだに世の中では、子育て中の女性が働いていると「そんな時間まで大変だね」「働いている間、お子さんはどうしてるの?」と聞かれる、と耳にしたことがあります。男性なら、聞かれることはまずないんですよね。

上野:そのような悪意のない過度な配慮が、育児中の女性社員への「育児があるから早く帰宅したほうがよいのでは?」「あのプロジェクトのリーダー役は忙しすぎて厳しいのでは」といった一方的な考えに結びついているケースが、世の中にはまだあるのだと感じます。

働き方やキャリアに対する考え方には状況に応じて様々な違いがあるので、管理職登用などにおいてもステレオタイプで考えることはできません。一人一人と対話することが何より重要ではないでしょうか。

泉谷:厚生労働省が発表した2022年度「雇用均等基本調査」結果によると、管理職に占める女性の割合は12.7%と、少しずつ比率は上がっているものの、日本企業の管理職は、まだまだ、ほとんどが男性。社会全体で見たときの多様性と公平性のなさは、結果としてあらわれていますよね。

上野:企業側は「機会は平等にしました。あなたがチャレンジしなかったのでしょう」というスタンスの場合もあるかもしれません。しかし、機会が平等に与えられているから公平さが実現されるわけではないんです。

「なぜチャレンジできなかったのか」「どうすればチャレンジできるのか」というところまで踏み込んではじめて、その先に公平性が見え、多様性を尊重できる社会が実現するのだと考えています。そして、そうやって踏み込んで考える際にも、たくさんの意見に耳を傾け、議論する必要がある。まさに多様性が必要なのだと思います。

泉谷:最近では、配偶者の転勤への同行を理由に退職せざるを得なかった社員が再入社できる「カムバック制度」を導入しました。一人一人が当社で長期間にわたって挑戦と成長を継続できるよう、ライフステージの変化や様々なライフスタイルに合わせてサポートしていきます。

上野 剛史(人事担当執行役員)

自分らしさとは、心理的安全性が守られてはじめて発揮できるもの

――多様性のある社会にするために、企業はどのような行動を取る必要があると思いますか?

上野:多様性を尊重(D=ダイバーシティ)するだけではなく、公平性の観点(E=エクイティ)を持って、それぞれが自分らしい力を発揮できるようにする(I=インクルージョン)ことが必要だと思います。それらDE&Iを実現することで初めて、多様性が力に変わっていくと感じます。

――そのために、ソニーネットワークコミュニケーションズではどのようなことに取り組んでいますか?

泉谷:本人から言われて初めて気づけることも多いので、積極的にコミュニケーションを取り、一つ一つ環境を整備しています。たとえば視覚障がいのある方に「皆が使っているサイズのモニターでは見づらい」という話を聞いて大きなモニターを設置したり、外国籍の方から「礼拝できる場所はどこですか?」と聞かれて部屋を提供したり。育児や介護を行うメンバーも同じです。

上野:一方で「私にはこの環境が必要なんです」と声に出して言えるかは、職場の「心理的安全性」が守られているかどうかにかかっています。

自分の意見を言ったことで不利益を被ったり不平等に扱われたりすることがないこと。そのような「心理的安全性」を守ることも、従業員の働きやすさを整える上で重要です。

――多様性、公平性、心理的安全性を担保するための具体的な取り組みを教えてください。

泉谷:会社として取り組むべきことはたくさんありますが、まずは全従業員が「理解する」ことが重要と考え、人権やダイバーシティに関する研修を行っています。任意受講のものを含めると研修の数は10以上。立場や関心に応じて理解を深めてもらえる環境を整えています。

必須の研修は、敢えて数ヶ月おきに実施しています。間隔を空けつつ継続することで、一気に学んで「はい、おしまい」とならず、大事な考えを常にアップデートできると感じています。

上野:研修はいずれも、業務時間内に受けられるようにしています。また、心理的安全性を確保するためにホットラインを用意・周知し、困ったときに声を上げられる仕組みづくりにも取り組んでいます。

泉谷:採用活動では、同じような業界、バックグラウンドの方ばかりを採用しないことも意識しています。男女問わず幅広い世代、障がいの有無や国籍を問わず採用することで、新たに入社する方を通じて組織に多様性をもたらすこともできると考えています。

泉谷 遼(経営業務部門人事部マネージャー)

どのような職場なら自分らしさを発揮できる? 多様性を力に変えるために

――これらの取り組みを通して、どのような組織にしたいですか?

泉谷:従業員一人一人が「DE&Iの取り組みが組織の持続的成長に大きな影響を与えるんだ」と認識し、DE&Iの実現についてメンバー同士で当たり前のように話し合い取り組んでいけるようにしていきたいですね。

上野:ソニーネットワークコミュニケーションズは、社会インフラを提供する通信事業会社であると同時に、ソニーグループの中で新規事業を創出するインキュベーションの役割を担っています。これらに共通するのは「社会をより良いものに変え、新しいものを創出する使命があること」。

そのためには、そこで働く人が多様性を認め合い、多様性を力に変えることができる環境が必要です。その土台があって初めて、社会の変革に取り組めるはず。自分たちの多様性を武器に、より多角的な視点から世の中の発展に貢献できる企業として成長していきたいです。


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