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パパママ300人の声からできた子どもの見守りGPS。親の思いが詰まった5つの機能とは

皆さんは、自立していく我が子をどのように見守りますか?

下校時刻を過ぎているのに帰ってこない。帰宅ルートがいつもと違い、お迎え時にすれ違ってしまった。子どもが成長していく過程で、そんなヒヤッとする瞬間は多くの方が経験するものですよね。できるだけそのような瞬間を減らしたいと思うのが、親の本音ではないでしょうか。

「amue link(アミューリンク)」は、そんな親の気持ちに寄り添いつつ、子どもの自立を支える見守り端末です。どのような思いで開発したのか、サービスに携わる3名に話を聞きました。


親として、同じ悩みを抱えていた。すべての親子へ安心を届けるため開発へ

――「amue link」の開発のきっかけを教えてください。

小野木:私にも子どもがいるのですが、小学生になり家族の誰も見てないブランクな時間ができるようになったんです。そんな中、世の中では子どもが巻き込まれる凄惨な事件も起きていて、すごく怖かったのを覚えています。

昨今、共働きのご家庭が増える一方で近所づきあいが減少するなど、私たちの幼少期に比べ、子どもを取り巻く状況は大きく変化しています。昔は地域ぐるみで子どもを見守り、隣人が子どもを預かってくれることもありましたが、社会が変わり、今では隣に誰が住んでいるかすらわからないケースも増えていますよね。加えて、SNSの台頭で子どもが巻き込まれた事件や事故の情報が瞬く間に広まるようになり、親の不安が増大しやすい傾向にあるのではと感じます。

小野木(法人サービス事業部コネクテッドソリューション部/ウォークマンの商品企画、インドへの海外赴任、スマートフォンの商品企画やマーケティングを経たのち、現職でプロジェクトマネージャーに。元プロボクサーの肩書きを持つ)

西野:うちには未就学児の子どもがいます。片時も離れないのが当たり前のような生活をしていますが、あと数年で小学校に入る、そのときの生活が想像できないんです。昨日までどこへ行くにも手を繋いでいたのに、今日を境に1人で行くの?と。せめて後ろからついていきたいぐらいの気持ちではあるんですけど、子どもの自立や自分にも仕事があることを考えると、そうするわけにもいかないんですよね。

小野木:キッズケータイは学校への持ち込みが禁止されていることも多く、低年齢になるほど友人間のトラブルに発展するケースもあります。じゃあどうすれば見守れるのか。そんな親の不安にテクノロジーの力で寄り添える見守りサービスをつくれないかとなったことが、開発のきっかけでした。

――同様のサービスが世の中にすでにある中、なぜ開発が必要だと感じたのですか?

小野木:開発当時、すでにあった類似サービスは「いま子どもがどこにいるかを特定できる」というもの。どこにいるかがわかるだけで、安否確認ができるものではありませんでした。私たちが目指したのは、「親御さんへ本当の安心を届けること」だったのです。

リサーチでは、共働きか否かを問わず、のべ300名を超えるママやパパにヒアリングしました。さまざまなご家庭から広く話を聞く中で見えてきたのは、「一人で外出している子どもとつながるためにどうすればいいか」という共通した悩み。そういった悩みに応えるため、開発で重要視したのは次の3つでした。

●端末とスマホの両方から音声を送り合えること
→居場所はわかるが安全かどうか分からないという心配を解消

●子どもの周辺温度や移動手段がわかるようにすること
→普段と違う行動を取っていないか、熱中症の可能性はないかを察知

●小型かつ防水防塵にすること
→子どもがどこにでも持っていける相棒にする

繁田:当時、各社が見守り端末に搭載していたのはデータ送信量が少ない分、端末の小型化・低消費電力化が叶う「LPWA(Low Power Wide Area)」という技術でした。
各社が位置情報の低消費電力化に着目して通信方式を選定している中、「amue link」は位置情報の把握に加えて音声のやり取りができるようにしたいと考えていたので、データ送信量と省電力のバランスが取れた「LTE–M」を採用しました。
当時、開発にかかわっていたエンジニアは20名ほど。「LTE–M」が見守りに活かせるんじゃないかと気付いたときは、ハッとしましたね。

繁田(法人サービス事業部コネクテッドソリューション部/VAIOやモバイル端末の設計を担当したのち、現職で技術面のプロジェクトリードを行う。趣味は、サービス開発、昆虫フィギュアの収集、筋トレ、熱帯魚飼育など)

――さまざまな技術が取り入れられていますが、特に大変だったのはどの部分でしたか?

繁田:小型化です。これだけの機能を搭載し、平日5日間充電せずに済ませられるバッテリーをどのように搭載するかは特に頭を悩ませました。
既存のものでは難しく、「静止中はシステムを完全にオフにし、振動が加わると同時に、瞬時に一から起動する」システムを新たに開発したんです。これは最終的に特許も出願し、技術としてはかなり頑張りました。

小野木:持ち歩きの邪魔になるようでは使われなくなってしまう。そこで、大きさは消しゴムサイズ、重さは単三電池一本分と、極限までこだわりました。開発までにかかった期間はリサーチを含め約1年半。本当に、何も妥協しませんでしたね。

約6×2.6センチ、約23.7グラムと、まさに消しゴムサイズ
子どもが握りやすいようスリムな形にしている

搭載した5つの機能。寄せられた「便利アイテムというより必需品」の声

――こうして完成した「amue link」。搭載した機能を教えてください。

小野木:搭載した機能は5つです。

①居場所がわかる
「amue link」に内蔵したGPSと携帯電話基地局の情報を使い、子どもがいまどこにいるかを専用アプリから最大5名が見守れる

②ボイスメッセージを送りあえる
「amue link」とスマホの双方から最大8秒間のボイスメッセージを送りあえる

③出発/到着したかがわかる
習い事教室や学校など、あらかじめエリアを設定することで、スマホへ出発/到着のお知らせが届く(最大10カ所)

④移動方法/周辺温度がわかる
ソニーのセンサーを複数搭載。端末の移動速度から、現在の移動手段(徒歩/自転車/電車/車/バス)をAI判定する。端末周辺の温度検知も同時に行える

⑤小型で軽くて丈夫
子どもの手のひらにおさまる超軽量・小型サイズ。(※)音声ボタンのみの設計のため誤操作が起きず、防水・防塵の丈夫な設計で、低年齢でも安心して使用できる

※防水・防塵対応の音声機能付きLTE GPSトラッカーで世界最小・最軽量。(2020年12月10日時点、各メーカーからの公式発表に基づく。ソニーネットワークコミュニケーションズ(株)調べ)

小野木:機能面から考えると、価格はできる限り切り詰めて頑張りました。また、充電にかかる時間は残量ゼロからフルチャージまで2時間と、かなり短くしています。あまりに充電の時間が長いと、充電していたことを忘れてしまい、朝そのまま家を出てしまうなんてこともありますからね。

――お客さまからは、どのような反響がありましたか?

西野:「子どもの居場所がわかるのが当たり前になった」「便利アイテムというよりも必需品で、ボイスメッセージでやり取りできることが安心に繋がっている」といううれしい声をいただいています。きょうだいのどちらかをお留守番させるときや、お迎え時のすれ違いをなくすための用途としても活用されているようです。

小野木:学校や習い事へ行くときだけでなく、家族旅行など、用途は幅広いですね。本体が防水防塵なので、キャンプなどの野外遊びで活用されるケースも。
また、子どもが持つことを想定して開発したサービスですが、高齢者の方の見守りや、少し変わった使い方だと散歩時のペットの見守りや自転車の盗難防止にもお使いいただいています。それぞれのご家庭にあった使い方をしていただけるとうれしいですね。

西野(法人サービス事業部事業推進部/さまざまな企業のデジタルマーケティングを担当したのち、現職。子どもに絵本を買うのが日々の楽しみ)

――子ども目線の使い勝手はどうでしょう?

小野木:我が家で実際に使っているのですが、子ども目線では音声が楽しいようですね。外出時だけでなく家にいるときに「お洗濯たたんだよ」などのメッセージが送られてきて、つい笑ってしまいます。そんな、家族のコミュニケーションツールとしても使えています。

子どもが初めて手にする自分だけのIT端末って、多くの場合ゲーム機やスマートフォンになりがちですよね。しかし、トラブルを回避するために、与えるタイミングを極力引き延ばしたいと考えるご家庭は多いもの。子どもに最初に買い与える”自分専用”のIT端末が「amue link」だったことで、つながるワクワクや安心、ITの素晴らしさを教えられたのも、良かったのではと思います。

監視ではなく見守り。成長していく我が子に親ができることとは

――今後の展望を教えてください。

小野木:現在、お客さまからいただいたご要望を、サービスの新機能として順次搭載しています。たとえば温度機能。いまはホーム画面を開いて見る仕様になっていますが、35度を超えるとスマホへプッシュ通知が届く機能を、23年春より実装予定です。

繁田:ほかにも、通知一覧も今後追加予定です。現在、「電池がなくなった」「特定の場所に到着した」などを通知する機能があるのですが、通知を見逃してしまった場合に備えて、一覧で表示できる機能を実装予定です。

小野木:私たちがつくりたいのは、監視型の見守りサービスではなく、子どもの自立を促す見守りサービスです。目の前の石をずっと親が取り除き続けるのではなく、子どもが自分で危ないことに気づけるようになり、つまずいても立ち上がれば大丈夫と自信を持てるようになるまでを見守れるようなサービスをつくりたいと思っています。最初は先回りが必要でも、やがて助けてほしいときに自分から「助けて」と言える、そんなサービスにしていきたいと思っています。

西野:子どもが安全に過ごせているかを知りたいというのは、普遍的な親の思いだと思うんです。また、“小一の壁”は、体験してない者からするととても大きな壁に感じてしまうもの。子どもと一緒になって不安を感じている親御さんの心配を払拭し、「大丈夫だよ」と言ってあげられる存在になりたいのが私たちの願いです。


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