「所有=豊かさ」から、価値観はどう変わった?資源循環型の新たな消費スタイルとは
ソニーグループでは、ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージング&センシング・ソリューション、金融などさまざまな事業を手がけています。その領域は多岐に亘りますが、いずれも「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というPurpose(存在意義)のもとに活動しています。
「同じ考えを持ったグループ内で新たなシナジーを生み出し、サーキュラーエコノミーを実現できたら」
そんな思いから、高速光回線「NURO 光」とそのオプションサービスである「NURO でんき」、液晶テレビ「ブラビア®」をセットにした「ブラビア 月額オプション」を2023年11月にリリースしました。サービスを通じて目指していることなどについて、サービス企画とサステナビリティ推進の担当者に話を聞きました。
「ソニーグループだからこそ生み出せるシナジー」で、市場にないサービスの実現へ
――「ブラビア 月額オプション」のサービス内容を教えてください。
窪田:「NURO 光」に新しく加入されるお客さまを対象に、グリーン電力プラン「NURO でんき CO2フリープラン」(※1)と、整備済製品を含むソニーの性能・品質基準を満たした43型液晶テレビ「ブラビア」(※2)をリースするサービスです。
これらをオプションサービスとして契約いただくことで、光回線の月額基本料金を501円引きに。また、「ブラビア」をリースでご提供することによって、月額1,430円で高品質なテレビをお試しいただけるようにしました。
――これまでも「NURO光」のお客さまにPlayStation®5をリース提供する「PlayStation®5 for NURO」などのグループ内コラボを実施してきましたね。
窪田:はい。「PlayStation®5 for NURO」はお客さまからも好評で、ブラビアとも親和性が高いと思っていました。ソニーグループの通信インフラである「NURO 光」は、これまで「感動を届けるインフラでありたい」と、高速・大容量通信でエンタテインメントを楽しんでいただける環境を提供してきました。
――今回のコラボに至った経緯を教えてください。
中村:ソニーのエンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)領域では、テレビやヘッドホン、カメラなどの製品の開発・販売を行っています。これまでも各製品の低消費電力化やエコ素材の採用に取り組んできましたが、今後さらに環境負荷を低減していくには、いかに資源を循環させられるかが大きな課題となっています。
そこにソニーネットワークコミュニケーションズの「NURO 光」と「NURO でんき」に当社の「ブラビア®」をバンドルする提供形態は資源循環にとても有効で、私たちが今後提案していきたいサーキュラー型のライフスタイルにぴったり合致するということで、今回のコラボが実現しました。
窪田:「ソニーグループだからこそ生み出せるシナジーを追求したい」という話は社内でも以前からあったんです。ある機会にET&S領域で描いているサーキュラーエコノミーの構想を聞き、私たちからは「NURO 光」と「NURO でんき」を提供できると感じ、今回のリリースに至りました。同じグループ会社ではありますが、ハードウェア、通信サービス、環境という異なる観点からコラボレーションするのは珍しく、ゼロからのスタートでしたね。
――昨今、家電に限らず、さまざまなモノのレンタルやシェアリングサービスを耳にする機会も増えました。どのような背景があると思いますか?
窪田:少し前までの「多くのモノを持つことが豊かさの象徴」という価値観が変わったことが背景にあると考えています。
中村:私も家具・家電のレンタルサービスを利用していますが、その理由は「必要以上にモノを買いたくない」から。ライフスタイルによって欲しいモノは変化するので必要に応じて入れ替えたいという気持ちと、モノを持つと捨てることを考えないといけないので、今はレンタルにしようと思ったんです。
周囲でも、同様のサービスを利用している人は少なくありません。理由は「今のライフスタイルに合うかどうか試したい」「初期コストが高くて買えない商品にも手が届く」「将来的な引っ越しを考えると、モノを持つのが煩わしい」などさまざまで、多様な価値観が生まれていると感じます。
――「ブラビア 月額オプション」は、現在どのような方に加入いただいていますか?
窪田:現在は新規で「NURO 光」をご契約いただくお客さまへご案内しているため、都市部の30代〜50代の方々がメインです。今後はより幅広い世代や、新生活をスタートさせる方などにも広げていきたいと考えています。生活に欠かせないものを一つにまとめることで、お得に、しかも環境にいいアクションができるということをお知らせしたいですね。
中村:新生活では通信回線や電気を個別に契約し、必要な手続きをそれぞれ進める必要があります。それらを全部まとめられると手続きの面でも支払いの面でも楽になるはずですよね。
窪田:今後は、既に「NURO 光」をご利用中の方にも案内できるよう、単品追加の準備も検討中です。
これまで通りの生活をしながら、今より環境によいことを
――このサービスは、ソニーグループ全体の環境計画である「Road to Zero」(※3)にも関わる内容だと感じます。
中村:「Road to Zero」では、2050年までに環境負荷ゼロを目指しています(詳しくは最下部のリンクから)。掲げた目標の「GHG(※4)排出量ゼロ」「新たな採掘資源の使用ゼロ」「原材料からの徹底管理」「自然環境との共生」のうち、今回の取り組みは前者2つに寄与できると考えています。
「GHG排出量ゼロ」
製品をつくりお客さまに届け使用後に廃棄する一連の消費活動の中で、最もGHG排出量が大きくなるのは、お客さまのお手元でご使用いただくとき。実はソニーのバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量のうち、「製品使用時のエネルギー」に起因する割合は55%程度(2022年時点)で、なかでも消費電力の多くをテレビが占めているんです。
そのため、「グリーン電力を使ってみよう」というきっかけや、電力会社選びの選択肢のひとつになるよう、サービスに組み込んでいます。
「新たな採掘資源の使用ゼロ」
最終的な目標として「新たな採掘資源の使用ゼロ」を掲げており、今回リース提供を行うテレビには、整備品も積極的に使用していく予定です。このように、再生資源の活用によって製品における資源循環を推進し、サーキュラーエコノミーへの理解と実現につなげられればと考えています。
――サーキュラーエコノミーに企業が取り組む重要性について、どのように考えていますか?
窪田:以前に比べ個人の環境に対しての意識が高まりましたが、販売した商品のその後を企業が考えられていないと、最終的にはゴミとして捨てるしかありません。個人でできることをやっていても、生活のために買うしかないものもあります。「売って終わり」ではなく、環境負荷をかけないようにするため、企業がサーキュラーエコノミーの仕組みを作ることは、非常に大切なことだと考えています。
中村:ソニーでは、サーキュラーエコノミーへの取り組みを積極的に行っていきたいと考えています。日本ではサーキュラーエコノミーへの理解がまだ低く、スマホやデジカメなどの小型家電の回収率が2割にとどまっているというデータも。ソニーとして、家庭に小型家電が眠らない仕組みを早期に実現させていきたいですね。
環境問題は団体戦。企業の垣根を越え、社会全体で取り組んでいけたら
――最後に、今後の展望について教えてください。
中村:環境へのアクションは「環境にいいから使ってください」というアプローチだけでは限界があると思っています。「このサービスの組み合わせは自分に合っている」「お得に使える」など、サービス自体にメリットを感じて入ってもらうことが重要です。
理想は「気づいたら、結果的に環境にいいアクションになっていた」という状態。それをソニーの製品で実現させ、環境へのアクションに参画している人を増やしていけたらと思っています。
環境問題は、1つの企業だけで解決できるものではありません。特にサーキュラーエコノミーは団体戦と言われており、メーカーとリサイクル事業者、自治体などの各専門家が集まって、大きいエコシステムを実現させていくものです。そして、そこには必ずお客さまの理解と参加が必要になります。今回の取り組みも、いわば団体戦。各社の隔たりなく、皆で取り組んでいければ、大きなことも成し遂げられるのではと感じています。
窪田:お客さまのご要望にしっかりと耳を傾け、サービスの拡充や改善を図っていきたいと思っています。
リリース後、サーキュラーエコノミー促進の相談や協業のご提案も届いており、業界的にも注目されていると感じます。とあるリサイクル事業者さんから、「通信回線・電気・製品のリースと、ライフスタイル全体に関わる組み合わせを考えたのがユニークだね」と言われたことは嬉しかったですね。
もし今、自分が新しい生活をスタートするとしたら。毎日使うものは、コストパフォーマンスはもちろん、環境にいいか、魅力的な付帯サービスがあるかも選ぶ基準になってくると感じています。より多くの皆さんに選んでいただけるサービスを目指して、これからも頑張っていきたいです。
(※3)ソニーの環境計画「Road to Zero」
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/csr/eco/RoadToZero/gm.html
(※4)GHGは、地表面から反射する太陽光の赤外線を吸収することで、地表の温度を上昇させる効果があるガスです。代表的なものとして、二酸化炭素 (CO2) 、メタン、亜酸化 窒素、ハイドロフルオロカーボン (HFC) 類、パーフルオロカーボン (PFC) 類、六フッ化硫黄 (SF6) 、三フッ化窒素 (NF3) の7つのガスがあります。
※特に注記のない限り、記載の金額は全て税込金額です。
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